ところでコンテナとは、貨物列車に繋ぐ貨車のことではなく、植物を栽培するための容器のことを総称してコンテナと呼んでいます。
ベランダガーデニング関連の本やDIYの解説書には、マンションのベランダやバルコニーに防水シートを敷いて、そこに土壌を直接入れてレンガ等で囲んで花壇をつくるというようなことが書いてありますが、こんなことは現実的にはできません。
ほとんどの場合が、管理規約違反になりますし、たとえ規約をすり抜けてできたとしても、定期的な防水メンテナンスが5年〜10年ごとにあるため、この際にはすべてのものを撤去させられます。
そういったことを考えると、マンションのベランダやバルコニーでのガーデニングはコンテナガーデンが最も現実的な方法といえるわけです。
コンテナガーデンでも、月日が経てばかなりの量のコンテナが蓄積され、メンテナンス時にこのコンテナを一時的にどこに退避するかで問題になることもあります。
少しであれば、リビングなどの部屋に置けますが、多くなるとマンションの中庭などを一時的な退避場所として、そこに運ぶなどの処置がとられます。
かなりの重労働で、お年寄りには無理です。こんなことも考慮すると、あまり大きなコンテナに土をいっぱい入れて使うのも考えものです。
では、このコンテナにはどんな種類のものがあるのでしょうか。ベランダやバルコニーで使用するにはどんなコンテナがいいのか考えてみましょう。
○コンテナの大きさ
円形の植木鉢については、直径の大きさを号数で表します。1号を直径約3cm(正確には一寸)で計算し、10号の植木鉢は直径が約30cmということになります。
一人で手軽に動かせる植木鉢の大きさは10号ぐらいまででしょう。
それ以上のものになると、緊急時にすぐには動かせませんし、下手をするとぎっくり腰になる危険性もあります。
○コンテナの深さ
深さによる種類としては、古来から植木鉢の呼び名として普通鉢、平鉢、深鉢の3種類に分類されるようです。普通鉢というのは口径と深さ(高さ)がほぼ同じ形状のものを指します。深鉢は口径より深さ(高さ)の方が長い胴長の鉢で、根が深い植物に向きます。
長鉢、懸崖鉢ともいいます。
平鉢(半鉢ともいう)は直径に対して半分以下の深さ(高さ)しかない鉢のことで、根が浅く横に伸びるタイプの植物や、寄植え等に適しています。
現状では、植物の生態に合った鉢を選ぶというより、デザインで選ぶことのほうが一般的なようですが。
○コンテナの素材
・素焼き
古来から愛用されてきた茶色の駄温鉢などを指します。駄温鉢は、縁のみに釉薬をかけ、約1000℃で焼いた陶器の鉢のことです。最近では、テラコッタ(イタリア語で素焼き土器という意味)と呼ばれるのお洒落な飾り鉢が流通しています。こちらは、粘土を800℃〜1300℃で素焼きしたものですので重く壊れやすいですが、多孔質で水や空気を通すため通気性や排水性に優れ、表面からの蒸散作用で温度上昇が少ない。素焼き鉢に、ペンキで塗装したり、絵や模様を描いているのを見かけますが、鉢本来のもっている通気性・排水性は損なわれてしまいます。素焼き鉢を再利用する場合には、よく水洗いして汚れを落とし、通気性・排水性を回復させた上で、殺菌のため煮沸消毒するのが理想的です。
・プラスチック
水や空気を通さないため、それが短所になったり長所になったりします。短所としては、過湿状態になりやすく、高温になりやすく、通気性が悪いため、植物が根腐れを起こしやすい。
また、寒さも鉢内の土に伝わりやすく根を痛めることがある。しかし、鉢の底にゴロ土を入れるなどして排水をよくすれば、水持ちのよい鉢になり、長所にもなります。また、軽いこと、様々な形状やカラフルな色などを選べることも長所といえます。安価で薄手のものは、日光や風雨のために劣化しやすく、鉢の縁から割れやすいです。なお、白色の鉢は、他の色の鉢に比べて劣化しやすく、鉢が薄いと日光を通し易く、根の生長を阻害することもあります。また、黒色のプラスチック鉢は、内部の温度が特に上がりやすいため、夏季は直射日光が当たらないよう注意が必要です。
・FRP(Fiber Reinforced Plastics)
ガラス繊維により強化されたプラスチック素材で、素焼きやコンクリート製に比較しても、はるかに重量が軽く、耐久性にも優れています。ただ少し質感が悪いのが欠点です。大型のプランターなどによく使われている素材です。・GRC(Glassfiber Reinforced Cement)
セメント及び軽量骨材に耐アルカリ性のガラス繊維を加えて結合力を高めたガラス繊維入り強化セメントです。普通のコンクリートとは違って薄く製作することが可能なため軽量化が可能ですが、プラスチックやFRPほど軽くはないです。ガラス繊維により、粘り強く、高い引張強度と曲げ強度特性を持ち、質感も優れています。その分、価格もやや高めです。・木製
木は、種類(木の硬さや繊維の密度)によっても差がありますが、一般的には空気や水を通しやすく、また、熱の伝導率が低いため外気温の影響を受けにくく、植物の根にとってはいい環境になります。自然素材ですので、化学的に合成された素材に比べると耐久性は劣りますが、材質の硬いものは10年近くも腐らず使用できることもあります。・紙製
古紙をリサイクルした再生紙で作ったコンテナで、非常に軽く、自然な質感がでます。通気性や排水性も優れていますが、耐久性は悪く数年で使えなくなってしまいます。水分を含むと変形したり裂けたりするため、水受け皿などを使用しないで、すぐに排水した方が長持ちします。・陶磁器(化粧鉢)
素焼き素材に釉薬をつけて高温で焼いたものです。通気性や排水性は非常に悪いというより、ありません。ただ、非常に種類も豊富で美術的にも価値があります。鉢カバーとしての利用が望ましいでしょう。・金属製(ブリキ製が多い)
家の中の要らなくなった廃品のバケツや鍋、空き缶等を利用して植木を植えます。最近では、こういったジャンルをジャンクガーデン(まさにガラクタの庭)などと呼んだりしています。一歩間違えるとゴミ置き場になるので気をつけましょう。また、こういったブリキ製品を売っているコーナーも最近良く見かけます。素材種類 | 保水性 | 排水性 | 通気性 | 保温性 | 重量 | 耐久性 | 堅牢性 | お値段 |
素焼き | × | ◎ | ◎ | △ | △ | ◎ | × | 高い |
磁器 | ○ | △ | × | △ | △ | ◎ | × | 高い |
木製 | △ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | △ | 普通 |
紙製 | △ | ○ | ○ | × | ◎ | × | △ | 安い |
プラスチック | ◎ | × | × | × | ◎ | × | △ | 非常に安い |
FRP | ◎ | × | × | △ | ○ | ○ | ◎ | 安い |
GRC | ○ | △ | × | × | △ | ○ | ○ | 普通 |
金属 | ◎ | × | × | × | △ | ○ | ○ | 無料〜高い |
マンションのベランダやバルコニーで重要な要因 |
★鉢底穴について
鉢底穴は、素焼き鉢の場合、底の真ん中に穴が一つ開いているだけですが、10号を超えるような大型鉢の場合は水はけが悪くなるので、ドリルなどを使って底の穴を増やしたほうがよいでしょう。プラスチック鉢は、水はけを少しでもよくするために、たくさんの鉢底穴が開いています。もし穴がなければ、ドリルで穴を追加したほうがよいでしょう。
鉢底穴の数を増やすだけでなく、元からある穴を広げて大きくするのもよい方法です。鉢底穴が大きいほど、鉢底に余分な水が停滞しなくなり、根腐れしにくくなります。土を入れると、当然、鉢底穴から土が抜け出てしまうので、市販の鉢底網や、割れた鉢の破片などでふさぎます。 完全にふさぐと意味がなくなるので、土が漏れない程度にすき間を空けておきます。なお、鉢底網は、網戸用の網などで代用してもよいでしょう。市販の鉢底網の中には、半球状・円錐状に盛り上がっているものがありますが、根が特に空気を好む植物に使うもので、鉢底の通気性を確保でき根腐れしにくくなります。
○コンテナの種類(置く場所や飾り方により分類できる)
・スタンド(花台)鉢
茎や葉が下に垂れ下がったり、横に広がるタイプの植物を飾る時などに、植木鉢の高さをアップできるスタンド(花台)です。また、ベランダやバルコニーの手摺等で日陰になってしまう場所などに設置して、少し高さを足してやると日が良く当たる場合もあります。そして、逆に、夏などにコンクリート床からの輻射熱が鉢に直接伝わるのを遮断する機能もあります。デザイン的にも、手前に背の低いコンテナを置き、後ろ側に背の高いスタンド鉢を設置することで空間を立体的に演出することもできます。スタンド鉢にはデザイン性に富んだものも多く、ガーデンのクオリティを大きく向上させることができます。・ストロベリーポット
本来はイチゴの栽培用につくられたコンテナですが、上部の植え穴の他にも、側面にもいくつかのポケット的な植え穴があり、多数の植物を植えることができます。工夫次第では、様々な植物を組み合わせて楽しい雰囲気を盛り上げることができます。どちらかというと、子供が喜びそうな、少し幼稚で無邪気な雰囲気のあるコンテナです。・ハンギングバスケット(壁掛け型や吊り下げ型がある)
床に植物を置くだけではなく、壁や手摺に掛けたり、天井から吊るしたりして植物を飾ることができます。まるで周囲を植物に囲まれたような立体的なデザインが演出できます。狭いベランダやバルコニーでも多くの植物を飾ることができ、見下ろし目線だけでなく、立ち目線や腰掛目線で楽しむことができます。また、日照や雨などの状況に合わせて、空間を自由に移動できることもメリットです。床に置くより風通しがいいので、病虫害も比較的少ないようです。ただし、乾燥しやすいことや、高所の水遣りが大変なことや、強風などにも注意が必要です。壁掛け型のものをウォールバスケットということもあります。なお、マンションのベランダやバルコニーで使用する際には、必ず手摺の内側に掛けたり吊るしたりしてください。間違っても、外側に出すのはやめましょう。落下した場合、大きな事故につながります。・寄植え用コンテナ
多種類の植物を植えるための大型のコンテナで、直径30cm以上の大型植木鉢型のものから、横長のプランター(トラフ)や浅いボール状のものもあります。どちらかというと、深さはやや浅めのものが多いです。ウイスキーやビールの大きな樽を横半分に切ったものもあります。 なお、トラフというのは家畜に餌を与えるときに使う容器のことで、飼い葉桶と訳されています。これは、誕生したイエスキリストが馬小屋の飼い葉桶で寝ている場面を思い出してください。一般的には、細長くてやや浅めの形状をした、軽石や抗火石などの火山噴出物やコンクリートからつくったプランターを、トラフと呼ぶようです。・スリット鉢
プラスチック製のものが多く、鉢の底から鉢壁にかけてスリット状の切れ込みが数本入っているのが特徴です。水はけが良く、適度に乾燥するため根腐れを起こしにくく、スリットから入る光が根の伸びを抑制し、鉢の底部分に根が長く伸びてとぐろを巻くサークリング現象が防止され、根張りが良くなります。逆に、鉢底のスリットから害虫が入り込みやすい。デザインや色は限られておりあまりバリエーションがありません。
・底面給水鉢、底面灌水鉢
鉢の下部に水を貯める中底が付いており、鉢土と貯水中底に貯められた水は、フェルト状のヒモでつながっており、それを伝って水が鉢土に染み込むようになっています。植物が吸い上げた分だけ、毛細管現象で下から水が上がって来るので中底の水さえ切らさなければ、水切れが起こりにくいわけです。なお、常に、土が適度に湿った状態になるので、根の発達は今ひとつで時には根腐れを起こすこともあります。また、土の表面に肥料分が蓄積しやすいので、ときどき鉢土の上から水をたっぷりやり、肥料分をを下へ押し下げる必要もあります。
shop ラカン
多くのGRC製の底面給水装置付きの大型プランターを扱う店。
園芸ネット
底面灌水装置付きのプランター各種を取り扱う店。
アセロラ倶楽部
日本で初めてドイツのレチューザ製底面潅水機能付鉢を、ネットで販売したお店。
・ポリポット(ビニールポット)
市販の苗などは、軟らかいポリエチレン製の鉢に植えられていますが、この鉢をポリポットといいます。主に育苗用で、恒久的に植えておく鉢ではありません。 軽くて破損しにくく、しかも安価なため、広く使われています。なお、苗を定植する際に植え替えないで済む(根がポットを突き破るため)、自然素材のピートモスを主原料としているジフィーポットという育苗用鉢もあります。<その他のコンテナ関連商品のお店紹介>
・植木鉢・テラコッタ専門店バージ
モダンなものから使いやすい定番まで、プランター、テラコッタ、鉢の専門店。
・(有)所沢植木鉢センター
ポリポットやジフィーポット、立体鉢底網などがある植物の専門店。
・グレースノート
アンティークな一品物のデザイン花台が色々。
・エストアガーデン
アイアンプランターボックスなどアイアン製品が勢ぞろい。
・アルル
個性的なプランターをお探しの方はこちらへどうぞ。
ブルーミングスケープ
多種多様な鉢カバーが用意されています。
・リーベ ガーデン&インテリア
ローアイアン製のフラワーボックスが多数ある店。
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